新調昔話第891話<2005年3月12日>
     アサダさんとオイラと、過去形真実

 仕事を上がったその足で、電車に乗ってアサダさんの町へ向かった。
 小雨のせいで二人乗りは出来なかったけれど、その間話が出来てよかった。

 アサダさんの好きなバンドのライブDVD見て、曲をいくつも聴いてきた。cali≠gariの「ただいま。」を聞いて、私は涙を流した。
 泣いているとアサダさんは「なんかテラオカさん、この歌にでてくる人みたいや」といって、携帯から着歌を聞かせてくれた。


「忘れられない 忘れられない そんな人だから
呑めないお酒 今日は酔えない だからお願いバーボン下さい
捨てネコみたい 捨てネコみたい 帰る場所なんてないの
朝が来たら迎えに来てね そばに置いてくれるだけでいいの
それだけでいいの」(提供:シド「私は雨」)と、


 これを聞いているうちにぼろぼろ涙が出てきて、私が酒の味覚えたのは、という話になり、そこから私の中学時代の決して面白くない身の上話をしてきた。
 泣いている最中、アサダさんは頭をなでてくれた。また「テラオカさんは純粋なんやね」といってくれた。とても暖かくて、ずっと泣いた。
 それと、「こっちが友達やと思っても向こうが思ってなかったら友達やないやん。ましてや一、二度だけの付き合いで友達されるの嫌や。そう考えたら、私には友達がおらんのや」とずっと不安だったことを言うと笑い飛ばしてくれた。「私はずっと友達や思ってるで」といってくれた。

 帰りしな、自転車に乗っているときにも話をした。
「高速乗りまわせるようになったら車で旅行しよう」
 その前に、私は旅先で野垂れ死ぬ話をしていた。高速に乗れず失敗して死んでもいい。
 そう思っていたけれど、やっぱり生きて帰ってきたくなったのだった。
「地図読めんの?」
「読めへん。看板見てたら何とかなるよ。私と西へ行こう」
「うん」

 これから、楽しみだ。
 私は生きる。


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