タイトルだけでは、自分の嫁が愛しくて堪らないよとかいう惚気話のエッセイなのだと思っていた。
ちなみに初めて読んだ重松清の本は流星ワゴン。
でもって、愛妻日記。官能小説、しかも熟女物。
挿絵を入れるならは快楽天の表紙の担当者かしらと想像しながら読んだ。
全て短編で、他の男に抱かれて「汚れた」から、もっと汚れてしまえと嫁を乱交パーティーに参加させたり、
実家に帰ってその田圃で白昼嫁を犯したりと、とにかく主人公の男が自分勝手で非道すぎる。嫁はんを、
むしろ女をなんだと思ってるんだ!と拳を握り締めて机を叩いた、というのは冗談で、
展開に意を突かれてひたすらびっくりした。
一番魅かれたのは「煙が目にしみる」。
私は煙草を吸わないが、話に出てくるこの銘柄が気になった。何しろとにかく最後が。最後が。
蓋をしてやろうか、と老人は言った。なあ、おじいちゃんが、あんたのかわいい、きれいなまんこに蓋をしてやるからな。
ショートピースの箱を片手に、ひひっ、と笑いながら、千穂の股間を覗き込んだ。片方の端を唾で濡らして、性器の穴に挿した。ネジを巻くようにひねりながら、ずぶずぶと、奥まで。
老人はその煙草をすぐに抜き取って口にくわえ、ライターで火を点けた。美味しいよお、あんたのまんこの味がするから、こんなに美味しい煙草はないよお、といいながら、もう一度、煙草を挿した。
「煙が目にしみる(重松清著)」より引用。