文学酩酊日誌
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文学酩酊日誌<2010年1月11日>
田中清代作「トマトさん」
絵本。本屋で見てあまりのインパクトに度肝を抜かれたので読みました。この人面トマトが転がる様は映画「アタックオブキラートマト」並みの感動でした。

たかどのほうこ作「まあちゃんのながいかみ」
昔読んだ絵本。まあちゃんがどれだけ長い髪を使って何をするか、その辺が大変夢あふれてて面白い。

誉田哲也著「武士道エイティーン」
武士道シリーズ完!西と東に分かれた二人が面の下で笑って戦う場所が一番さわやかで好きです。ただ、ネタがなくなったのか、サブキャラ(磯山さんの師匠、早苗の姉、部活顧問の先生)視点の話があるのは、省略しても良いと思う。

藤本ひとみ著「パンドラの娘」「貴腐」
エッセイと小説。この人の名前は知ってたんですが今まで読まなかったので、これから読もうと思います。「貴腐」はおみだら三昧な貴族の生活が詳しくて面白かった。

川上弘美著「どこから行っても遠い町」
短編、連作小説。初めに隣人として出てきた人が次の話で主役になって、とつながっていて楽しかった。いろんな人がいて、いろんな話がある。

吉田修一著「キャンセルされた町の案内」
ギャグっぽいのから、深いのまでが詰まった短編集。痴漢被害にあう男の話が好きです。

文学酩酊日誌<2010年1月25日>
重松清著「かあちゃん」
償いと再生の連作小説。いじめられっこと、友達だったけどいじめた子、そして当のいじめっ子、いじめっ子の幼馴染の女の子、それぞれに話がある。いじめはする人が悪いと思っているのですが、その背景(両親の不仲だとか)を知っても許せないものがある。

群ようこ著「半径500mの日常」
安定したエッセイ。初期の群ようこ。

佐藤友哉著「デンデラ」
姥捨て山で捨てられた50人の老婆対村対大熊の壮絶な話。冬に読んで寒さ倍々。主人公(70歳の老婆)は頭割られたり右腕を麻酔なしで切ったり止血で焦がしたり、走ったり。仕掛けた罠と一緒に燃えたり、ばあちゃんはパワフル。えげつないのに一気に読みました。いやぁ、ほんと面白かった。実写が無理ならアニメで見たい。

姫野カオルコ著「ブスのくせに!最終決定版」
数年前に読んだことのあるエッセイを改稿、足したりした完全版。この人の美的センスがかなり支持できる…。綺麗と好きは違う…。

藤本ひとみ著「バスティーユの陰謀」
その辺の時代のフランスの、革命と陰謀の話。血なまぐさくなく、エロい部分もなく、あっさりしていました。そういう作風なのね。

文学酩酊日誌<2010年2月5日>
中場利一著「岸和田の血」
今回はチュンバのおかんの描写があってよかった。ハッタリ君がいたのは新鮮。チュンバのリョーコを彼女にするまでのエピソードも大変素敵。
「オレな、おまえのこと世界一好きになるわ。今はまだ日本一やけどな」「朝から晩まで好きやけど、これからは寝てる間も好きになる。オレと付き合うてくれ」なんて、言われたら相手が中2の不良少年でも惚れるわ。

前川麻子著「鞄屋の娘」
主人公の名前も麻子。会話文があまりない感じで、淡々とした話でした。

半藤末利子著「漱石の長襦袢」
夏目漱石の孫娘さんのエッセイ。ずいぶんとバイオレンスなじいちゃんだったとびっくり。あと、鈴木三重吉は私も嫌いになりました。

車屋長吉著「忌中」
飾磨とか家島とか、なじみある地区が出てくるのがちょっと嬉しい。でも話がなー…。借金の末一家心中とか、誰か死ぬ話ばかり。後味悪い。

文学酩酊日誌<2010年2月23日>
白石昌則 東京農工大学の皆さん著「生協の白石さん」
噂は知っていたので、読みたいなあと思っていたもの。図書館にひっそり置いてあったので借りました。質問カードを通しての対話が味わい深くて楽しい。真面目な使い方もしてね、と本人のエッセイ部分に書かれているので、悪乗りもほどほどに。

熊谷達也著「オヤジ・エイジ・ロックンロール」
70年代にロックやってたおっさんがまたバンド組む。さわやかな後味で面白かった。でも洋楽疎いので著者の解説を読んでもほとんど分からないものばかりなのが悔しい。こういう音楽小説は映画になるべき。青春デンデケデケデケみたいに。

群よう子著「またたび読書録」
本の感想とエッセイ。やはり何度読んでもどれを読んでも安定した面白さ、としか感想がない…。

千野帽子著「読まず嫌い。」
独特の解釈で文学界のあれこれを紹介。ミステリのジャンルが始まる前のミステリなど、興味深かった。

新藤冬樹著「引き出しの中のラブレター」
作者本人が白新藤と称する感動話。狙いすぎな感じがして泣けず。この人はどろどろな話のほうが面白いと思う。でも作中の人物がみんな幸せになるし、あの時であった人が実は!とかいうつながりになるのは良かった。けれども、ルームシェアしていた子に裏切られたこのエピソードは解決してはいけない気がする。もっとこう…復讐を…!

あさのあつこ著「朝のこどもの玩具箱」
起承転結の真ん中で終わっている感じの短編が多い。もうちょっと深く読みたい。

中島梓著「転移」
別名栗本薫のがん闘病記。5月15日、16日、こん睡状態になる直前の17日の日記が壮絶。何を書き留めたかったのか…。これからは健康に気を使おうと思った。

文学酩酊日誌<2010年3月25日>
菅野仁著「友だち幻想」
友達は、ちゃんと話せる人が一人でもいればそれ以上はいらない、的な内容。でも、それでも誰かとつながりたいなと思うのですよ。その場合友達じゃなくて、知り合いかな。挿絵が大変かわいい。

和田秀樹著「人間音痴」
ここでいう人間音痴は距離の作り方が下手なことの意味。人と距離を作ると楽であるということ、深く入ったらちょっと大変であるということ。そんな感じ。

原宏一著「ヤッさん」
ホームレスのタカオが、なぜか舌の肥えたホームレスのヤッさんとかかわって料理のあれこれ。ハッピーエンドがお約束。

恩田陸著「猫と針」
戯曲というか密室劇のシナリオ。誰がどれか目を離すとわかりづらい。かといって、舞台を見たいかというとそうでもない。

小川糸著「ファミリーツリー」
さわやかな成長小説。火事がなくて、犬が死ななかったらどうなっていたかも見てみたい。話にビートルズが出てくると大体昔懐かしい系になる。

佐藤富雄著「若々しい人老ける人」
著者が恩歳70過ぎても健康なのはわかりますが、サプリメント薦めすぎ。ビタミンぐらい、野菜とか果物食べて摂取したい。

あとは、図解雑学シリーズの「脳のしくみ」「からだの不思議」を読みました。勉強勉強。

文学酩酊日誌<2010年4月5日>
森達也著「きみが選んだ死刑のスイッチ」
裁判員制度や、死刑の仕組みについて書かれた大変読みやすい本。裁判印よりも死刑のスイッチを押す役目を全国民から選んだりする方がいいんじゃないかな、とか。

湊かなえ著「Nのために」
途中まで安藤望が女と思って読んでしまった。結局Nが誰だったかを探らせようとしているのが分かる。

市川拓司著「世界中が雨だったら」
なんだか重たい読後感。とりわけ表題作がまだましかなあという…。

唯川恵著「いっそ悪女」「今夜は心だけ抱いて」
悪女のはエッセイ。相談室のページはあんたが言うな、と思いました。今夜は〜は、離婚して別れていた母と娘の心が入れ替わっちゃうもの。日現実設定を入れてきてほしくなかったものの、読んでみると面白かった。熟女な高校生と、高校生な熟女。みんな幸せになって、特に母娘のわかりあったところなんかも、よかった。

金原ひとみ著「憂鬱たち」
精神科に行こうとする神田憂の妄想話。毎回役の違うカイズさんとウツイくんが出てくる。ぼんやりしているまに話が終わって、設定が変わって、という感じでどうも意味が分からなかった。

文学酩酊日誌<2010年4月22日>
永井するみ著「マノロブラニクには早すぎる」
読める展開だったけれど一応読書。でもどんな靴かはまったく知らないのでいつか履けるようになれたらいいな、とも思う。

唯川恵著「恋せども、愛せども」「息がとまるほど」
前者はドラマになっていたそうなので、ぜひ見たかった。同級生が実は腹違いの兄で!とか、がんばった努力が人のものに!とか、主人公たちがちゃんと幸せにならないのはなんか、かわいそうだ。後者は読後感の悪い短編集でした。

野村進著「脳を知りたい!」
早期教育についての良し悪し(というかほとんど悪)が書かれているので、育児するなら注意しないと。

ロバート・オーンスタイン著「右脳は天才?それとも野獣?」
右脳と左脳は両方しっかりしてなくちゃ駄目だというのがよくわかった気がする。読んでいる最中は勉強していたのに、あとに残ってないので何がなんだか。

西内啓著「東大の先生が実践する確立思考のコツ」
計算のところは流し読みしていたので、印象に残った部分は「がんばって稼いだお金も、楽して手に入れたお金も同じお金である」というところ。お金はちゃんと使おうと思う。

文学酩酊日誌<2010年5月5日>
ねじめ正一著「ぼくらの言葉塾」
この本を読んで、また朗読をしたくなりました。いい本読んで、いい言葉、話をたくさん知りたい。

清水義範著「MONEY」
金にまつわる犯罪小説。小学生がねずみ講とか…。うむむと思ったのは誘拐の話、良かったのは援助交際の話。それにしても東隆文が格好いいな〜。

わかぎゑふ著「花咲くばか娘」
冒頭の著者誕生のところからすでに爆笑。事実より面白いモンてないんだなあと思った。

真保祐一著「最愛」
18年ぶりに再会した姉の、結婚相手は人殺しの夫だった…。人殺しは良くないけれど、その人の背負っていた事情を思うとやるせない。姉ちゃんを愛していたのは弟だった、のくだりが切ない。

伊藤たかみ著「誰かと暮らすということ」
連続短編なので、冒頭に出てきた子が別の短編でチラッと出てくるとか、こういうのいいな。なんだかんだで不器用同士が恋人になってよかった。

池谷祐二著「進化しすぎた脳」
これも、読んでる最中は賢くなったけれど読了したら忘れたもの。…そうそう、遺伝子組み換えで人工的に子供が作れるように進歩したそうで…。だからその結果、がんにならない子とかメタボにならない子みたいなのが作れるようなんですが、それっていいことなのかなあ。結局ふたして見ぬ振りするだけじゃないのかな。

沖方丁著「天地明察」
弟から借りた本。どうしても勝気なえんが苦手で、先妻に愛情注いで読んでいたので、彼女の死が悲しかった(弟は泣いたそうな)。暦の…算術の…話のキモはあんまり分かってません…。

文学酩酊日誌<2010年5月19日>
楡周平著「プラチナタウン」
借金だらけの田舎町を、老後の終の棲家(楽園)にしていく話。町の住民の方言がなかなか味があって面白かった。この話のとおり、良い暮らしができる場所ができたらいいな、と思う。

水木悦子、赤塚りえ子、手塚るみ子著「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」
対談と、各父の漫画3本。赤塚不二夫の生涯はあんまり知らなかったので、意外でびっくり。

西加奈子著「さくら」
ぐいぐいひっぱられる楽しさ。愛ある家庭、家族がなんとも素敵。でも、一人死んでるから読後はそこまで幸せじゃない。兄×妹として読むと、狂気的過ぎる。

伊坂幸太郎著「SOSの猿」
西遊記が話の引き合いにしょっちゅう出されるので、ほとんど分かりませんでした。悪魔祓いの設定とかがあやふやな感じで、どうも…。

清水義範著「イマジン」
タイムスリップして、自分の父親に会って、いろいろ。バックトゥーザフューチャーな感じが大変良かった。和解もできたしね。

池谷裕二著「単純な脳、複雑な「私」」
好きになるのも嫌いになるのも理由がない。そんなことを学びました。

文学酩酊日誌<2010年6月1日>
小川内初枝著「長い予感」
ありえないだろう…。たまたまキャンプで出会った小学生と、10年後再会して恋仲になるって、ありえないだろう…。

新藤冬樹著「白と黒が出会うとき」
病院の悪い話。落ちぶれていく早苗があまりにもつらい。勝手に夜勤病棟の恋と比良坂をイメージして読んでました。

清水義範著「二十螺旋のミレニアム」
脳の話とか、遺伝子操作とか。興味深くて面白かったけど近未来で設定がついていけず。

小川糸著「喋々喃々」
あわあわした、男女の出会いとか。好きな人の名を呼ぶ、呼ばれる幸せがよくわかる。でも結局犠牲の元に幸せ掴んだんだな。

文学酩酊日誌<2010年6月17日>
三浦しをん著「星間商事株式会社社史編纂室」
会社の歴史を本にしようとする部門の話。主人公がコミケに出てるので、本文中にもBL(しかもリーマン者)の描写が出てきます。課長の変な時代劇も面白い。目の前で同人誌読まれる恥ずかしさは、なんか共感してしまった。作者はBL小説が書きたかったに違いない。

重松清著「十字架」
同級生が自殺した。遺書には僕が親友だと残してあった…。そのためにいろいろ呪縛から抜け出せなくて、葛藤が読んでいてつらかった。読む前から予想しててもつらい。

山田風太郎著「婆沙羅」
変な忍術とか出てこなかったので、残念。ちょっと変な儀式が出てくる程度。

川上弘美著「これでよろしくて?」
だめだ、なんだかこの人の本は好き嫌いと差がありすぎる(ダントツはセンセイの鞄)。嫁姑問題に直面しても何にもしないし。不妊治療するにしてもこんな夫のこどもなんか作りたくないよ。

嶽本野ばら著「ロリヰタ」
オトナに見える9歳ってどんなのだ。

辻村深月著「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」
女特有の陰口とか、陰湿さがしっかり書いてあってあまり読後感も良くなかった。

文学酩酊日誌<2010年7月8日>
唯川恵著「とける、とろける」
エロいのがテーマの短編小説。ここに出てくる絶頂というものを体験してないので、ちょっぴり羨ましい。

恒川光太郎著「南の子供が行くところ」
先生と女生徒からキスを受けて助かるロブの話が好きです。

東野圭吾著「超・殺人事件―推理作家の苦悩」
軽く読める推理小説で、大変楽しかった。でも理系じゃないのであの話はパスです。

川島誠著「NR」
宗教が話に入ってきたところから分からなくなってきた。でも走るって、爽やかでいいなと思います。

鷹羽シン著「お嬢様は白いのがお好き!?」
汁フェチのお嬢様という設定はエロいのに興奮しなかった。うーん。

羅貫中作「三国志(上中下)」
いやぁ長かった。大体の流れは掴んだかな…。後半はみんな死んで主役変わっちゃうので、あまり好きじゃない。好きな人は劉備です。

朝井リョウ著「桐島、部活やめるってよ」
文体がラノベっぽい。ここに出てくる学生時代を送っていないので、ちょっとついていけなかった。実果の話はあれでいいのか、心配…。

三浦しをん著「神去なあなあ日常」
突然山生活に放り込まれた主人公のあれこれ。回想の形を取っているせいで「そのとき俺は知らなかったのだった」など、そんな文章が多かった。 文学酩酊日誌<2010年7月18日>
姫野カオルコ著「よるねこ」
ホラー小説。化け物が出てくる系ではなく、人の業怖い系。

中島たい子著「結婚小説」
結婚小説を書くことになったから婚活をした主人公。結局最後の解釈は、結婚…でいいのかな…。

連城三記彦著「年上の女」
短編集。この中の、嫁姑の確執がえげつない話が怖かった。あまり読後感は良くない…。

高橋克彦著「四谷怪談」
一度読もうと思っていた古典文学。著者が、原文を解釈&翻訳しています。岩がかわいそうで、読んでいてつらかった。あと袖の兄は…!とか…。

山本甲士著「ひなた弁当」
リストラされて、どんぐり料理始めたり釣りを始め、そして弁当屋を運営する。悪い人は最後悪い結果があったので、読んだあとほっとしました。247P、「いしくら弁当」が「いわむら弁当」に間違えられてます。

後は三国志の調べ物を数冊読みました。

文学酩酊日誌<2010年7月27日>
朱川湊人著「太陽の村」
家族旅行のハワイからの帰り道、飛行機が墜落してたどり着いたのは電気も水道もない村で…。語り手の主人公がデブのニートですが、想い人ができてよかった。話の中の走れメロス改め「走れ芽路助」も面白かった。村人の反応が特に。

永井するみ著「逃げる」
父からの虐待だと思ったら、実は…。いろんな偶然が重なりすぎているのがもうひとつでした。

楡周平著「フェイク」
ワインの味なんか分からない、のくだりはなるほどなぁと思いました。最後の最後に主人公が復讐する側になって、いいところで終わってる。

京極夏彦著「嗤う伊右衛門」
本家四谷怪談とは違い、こっちは岩がちょっと勝気だったりする。伊右衛門が岩のこと好きだというのがわかって、救いがあった。

清水義範、ねじめ正一著「おとぎ草子・山椒太夫ほか」
原文を忠実に現代語訳して読みやすくした児童文学シリーズ。絵本ではカットされている「一寸法師がお姫様に濡れ衣を着せる場面」「厨子王が山椒太夫に行った拷問」が読めます。他にもいろいろ。「しんとく丸」は初めて読みました。昔話から学んだのは「親を大事に」「神様を信仰しよう」ということ。せめて親孝行だけでもやらないと…。

栗本薫著「里見八犬伝」
いずれ本腰入れて読みたいなと思っていたので借りたんですが、これ、途中までです。親兵衛が登場してきて、続きはまたどこかで!みたいな…。残念…。

夏樹静子著「四文字の殺意」
キーワードとかそのあたりは大変興味深かったんですが、全部パターンが一緒(警察登場とか)。話の中に「寺岡」が出てきて個人的にびっくりしました。

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