文学酩酊日誌
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文学酩酊日誌<2010年8月18日>
万城目学著「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」
小学生の視点がいきいきしてました。猫又のエピソードの部分も面白かった。ただ、弦三郎はこうなるだろうとか、すずちゃんもこうなるだろうと分かってしまったので、もうちょっとなんか合ったらよかった。

佐藤さとる著「雨月物語」
とても読みやすく、丁寧に訳されていました。あまり怖さは感じませんでした。

本宮条太郎著「本日の議題は誘拐」
小難しい単語の羅列ばかりというか…。表紙の絵の展開になるのが遅すぎる。

勝目梓著「カレンダーにない日」
途中から何で自分は熟年夫婦の情事に首突っ込んでいるんだろうと、思いながら読みました。明子のことががどうも理解できません。

北森鴻著「桜森」
続編があるようなので、まずはこの一作目から。別の話に出てきた人が他の話に出る、というタイプが好きです。お酒飲めない自分がちょっと歯がゆい。

大道珠貴著「ショッキングピンク」
改行が多い話は、ネットで読むエロ小説みたいな感じがしました。エロが書きたいならそういう出版社から書けばいいのに、と思います。

伊坂幸太郎著「あるキング」
宗教レベルで野球団体に熱を入れる両親の元に生まれたのが主人公。最後の最後で、精神は受け継がれていくんだなと思いました。息子が受けた暴力に、きっちり復讐した父ちゃんが好きです。

村松友視著「東海道中膝栗毛」
一度読んでおこうと思った古典文学。さらっと「タイミング悪い」「俺はプロだ」など、カタカナ言葉が交じってきますが違和感なく読めました。途中、作者の名前が出てくるくだりはドンキホーテっぽかった。

別役実・谷川俊太郎著「能・狂言」
きのこの妖精とか出てくる狂言の方が面白かった。

荻原浩著「ひまわり事件」
幼児と老人。人質と立てこもり。前半のひまわり育てるところはほのぼので、最後は読んでいて面白かった。

中村航著「リレキショ」
途中まで山崎さんは男だと思ってました。楽しみはこれから、な終わり方でした。ギター分からないので挿入歌が分からない。

興津要著「江戸の笑い」
争いのなかった江戸時代の、庶民臭い話がたくさん。今も昔もほとんど変わらないのがよくわかる。

藤本義一著「西鶴名作集」
藤本義一が訳しているから関西弁の表現が上品。好色五人女は、スケベな話じゃありませんでした。

新藤冬樹著「ブラック・ローズ」
業界の裏側がよく分かる。視聴率の大変さも分かる。スカッとしない復讐の結末が残念。

文学酩酊日誌<2010年9月7日>
川上健一著「翼はいつまでも」
夏に読むことができてよかった。野球部の青春、一人でキャンプ、そして恋。ラストは斉藤多恵と××にならなかったのが唯一心残り。あんなに素敵だったのにッ。「ッ」が多いので、脳内ビジュアルがジョジョ調になってしまいました。

江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」
登場人物が多いせいか、どうもまとまりなく感じました。陶子を中心にしてまだだらだら続けられそうな感じ。不倫OK!だって身体が気持ちいいから!というのもなんだかな、と思います。

氷室冴子著「落窪物語」
平安シンデレラ。おちくぼは最後まで心優しくて、継母(北の方)はどこまでいっても悪い女でした。あと、挿絵がとても綺麗。金色が印刷に上手く出てないのが惜しい。

児玉清著「寝ても覚めても本の虫」
女房を質に入れても欲しい本の話や、読む本がなくなってしまったから情熱だけで原書を読み出した話など、児玉さんの本好きがとてもよくわかりました。途中挿入されている達筆な時と絵も素敵です。

阿川佐和子著「屋上のあるアパート」「ギョットちゃんの冒険」
前者は一人暮らしを始めた朝このところに親友の由香がやってきて、いろいろ。麻子は結局最後にどっちの人を選んだのか、気になる。
後者は動物と話したり遊んだりと、不思議な寓話。ジブリは次回作をこれにすればいいと思う。最後までほほえましいお話でした。

文学酩酊日誌<2010年9月24日>
太田忠司著「ミステリなふたり」
表はすごいけど裏は好色な刑事の嫁と、その嫁からの話を聞いて犯人を推理する年下夫の短編集。これ、話が分かりやすくて、二人の関係も良かったのでもっと読みたい。

桐野夏生著「I'm sorry,mama」
人殺しはずっと殺しを続けて逃げる。読み終わったあとに表紙の写真の意味がわかって、ああ、と思いました。肉の描写がなんだか生々しい。

阿川佐和子著「空耳アワワ」
いろんな話題のエッセイ。読んでてほのぼの。

赤瀬川隼著「みんなで一人旅」
旅行はしてません。不倫の話が多い感じがしました。一話だけ、星新一のSFみたいな近未来小説があって、それも不倫がテーマ。

澤口たまみ著「昆虫楽園」
嫌いな虫(例えばカマキリ)を絵に描いてみようとするとうまく実態が描けない事実にはびっくりしました。虫を好きになろう、というのはよくわかるんだけどどうしても嫌いなものは嫌。虫に限らず、偏見はいけないけど…。

文学酩酊日誌<2010年10月7日>
中場利一著「あなた明日の朝お話があります」
みんな自分が大好き!な、男が主役の短編集。岸和田少年シリーズではないのがちょっと寂しかったですが、とても楽しく読めました。どうしてもカオルちゃんっぽいキャラとか、探してしまいますね。

斉藤茂太著「モタ流幸せをつくるコツ」
楽になりたくて読みました。心が軽くなった気がします。

伊吹有喜著「四十九日のレシピ」
夫の離婚する・しないの選択にいらいらして大嫌いですが、その分義母の石のくだりが泣ける。素敵な再生の話で、読んだあととても幸せでした。映像化は是非して欲しい。

朱川湊人著「あした咲く蕾」
昭和×思い出×少し不思議が作風といえばすっかりこの人。中華の話が一番好きです。

重松清著「きみ去りしのち」
読む前から気が重かったし、読んでる最中もつらかった。けれど読後は夫婦仲は再生できたのかな、とか、明日香は旅が終わったら関根さんと子に顔出すかな、とかその後のことを考えました。

小池真理子著「夜の寝覚め」
不倫の話ばかりで、うーん…。プラトニックなのもあったけど、ちょっと…。

加藤諦三著「心の休ませ方」
これも楽になりたくて読んだ本。的確なアドヴァイス(原文)と、イソップ物語風のたとえで大変分かりやすい。傷つかなくてもいい言葉で傷つくのは、止めにしたい。

文学酩酊日誌<2010年10月21日>
南條竹則著「猫城」
ひょんなことから猫語の翻訳を始めた我輩の話。どうして我輩なのかは、読んだあとにわかります。文体が面白かった。

斎藤薫著「Theコンプレックス」
前の話に出てきた人が次の短編の主人公、とリレーになってて面白い。まだ私は30代・40代でないので主人公たちの悩みが、分かるような分からないような。そのうち分かるようになるのか…。

G=ヒコロウ著「×××のゴアちゃん」
どれもテンション高くて中毒になっちゃいそう。こんな感じの1P漫画ブームがきたらいいのになぁ…。日記漫画の部分がほとんど道満さんだけなのが気になる。3姉妹の話が心にぐっと来ました。

幸田真音著「Hello,CEO.」
27歳、会社起業。働くって生きがいなんだな、と思った。後半の早坂の台詞は胸にぐっときます。あと5年さえ…。

吉田修一著「横道世之介」
世之介は、いろんな人からたまに思い出される人になってしまったのが寂しい。時系列がごちゃごちゃなので、後半で謎が解けてよかった。

角田光代著「福袋」
表題作は、いきなりとってつけたように「人生って福袋みたい」とか言い出すので、なんだかなーと…。赤ちゃん預かる話は、二人が再婚考えるのかと思ったけど、違ったので残念。

中村弦著「ロスト・トレイン」
平間さんがそっち側へ行ってしまった以上、主人公は彼女とずっと暮らしていくのは無理な気もする。駅の掲示板でのやり取りが洒落てて素敵。ただ、途中から不思議世界に入ってしまっているので、面白いけどどうかとも思う。

文学酩酊日誌<2010年10月29日>
田辺聖子著「とりかえばや物語」
男装女子、女装男子が主人公の現代語訳。昔からこういう設定があったんですね。男装女子が都合上娶った妻を同僚に妊娠させられたり、自分も妊娠させられたりとかなりただれてる。

高橋源一郎著「悪と戦う」
最後まで読んだけれど結局何なのかわからなかった。ぱはばチック…。

伊坂幸太郎著「オー!ファーザー!」
どういうわけか父が4人いる主人公。あの伏線がこんなところに!と読んでてとても面白かった。頭がいい悟とすぐ女を口説く葵が好みです。

新堂冬樹著「アンチエイジング」
美に執着する妻、若さを気にする夫。金が絡んで下手なホラーより怖い。この人の本はホラーかほんわかするかしかないのもすごい。

林望著「文章術千本ノック」
作文する人は一度読んだ方がいいと思うことばかり。自分がどうして「突然振り向いて。そこには誰もいなくて」見たいな文章を嫌うのかもよくわかった。

西内啓著「東大の先生がハーバードで実践した人を動かす技術」
読みやすくて、例えの部分なども分かりやすい。太宰治の「走れメロス」を使っての例え話とか面白かった。一回読むよりは何回も読んで、考え方や行動を自分のものにしたい。

宮西達也著「いちばんあいされてるのはぼく」
いつもどおりといえばそうだけれども、読んでて暖かくなる。今回誰も死ななくて本当に良かった。

芦辺拓「探偵と怪人のいるホテル」
花筐城太郎の話は他にもあるなら読んでみたい。関西弁での語りをしている話も、良かった。

南條武則著「鬼仙」
中国の話を元にした歴史奇譚集。ということは役所に住み着いた英華の話も嘘じゃないのかな。どの短編も面白かった。

文学酩酊日誌<2010年11月17日>
水木しげる著「屁のような人生」
水木しげる生誕八十八年記念の本。漫画がたくさん詰まっていました。「テレビくん」が読めたのが嬉しい。

ブルボン小林著「マンガホニャララ」
漫画エッセイ。知ってる漫画が話題に出てくるととても嬉しいです。もっと読んでみたい。

森見登美彦著「ペンギン・ハイウェイ」
勉強家の主人公なのに「怒りたくなったらおっぱいのことを考えるんだ」とか「おっぱいけーきを食べたい」「お姉さんのおっぱいが触りたい」とか言うのが可愛い。許される小学生。最初の文章が最後にも出てきて、そしてお姉さんが大好きだという一文が切なくて、涙がにじみました。

有川浩著「フリーター、家を買う。」
ドラマやってるけど見てません。フリーターが成功するまでをもう少し詳しく書いたら、ビジネス書になりそう。毎度思うんですがあとがきがいらない気がします。

皆川博子著「少女外道」
レトロ、戦死。そんな感じで特に心に残りませんでした。

領家高子著「怪談お露牡丹」
最後に出来上がった絵が、ぜひ見てみたい。怪談というタイトルはちょっと大げさな感じがしました(奇病の人が出てくる程度なので)。

唯川恵著「愛に似たもの」
ハッピーエンドが一切なくて、女と女の妬み・嫉みだらけ。なんというか、えげつない。

呉承恩著「西遊記」
大筋は知っていたけれど、最後まで読んだことがないので読めてよかった。悟空が三蔵法師を守るために人に化けた妖怪を殺したら「殺生はいけません!もうお前なんて知らない!」と言われて実家に帰る→探しに行くと言って昼寝をする猪八戒→二匹を探しに行く道中で敵にやられる沙悟淨→独りぼっちになってしまい、泣きながら逆の方向へ3匹を探しに行く三蔵法師、のくだりがとても面白かった。児童向けに大幅に省略してあるらしいですが、きっと本編はこれの繰り返しなんだと思う。

志賀貢著「おとなのないしょ話」
えっちなあれこれの話。こういう雑学も必要かなあなんて思って読んでみました。挿絵が面白い。

新美南吉著「ごんぎつね」
短編寄せ集めの大変お得な本。「ごんぎつね」「てぶくろを買い」も入っていますが、他のはほとんど未読だったので新鮮でした。「巨男の話」は心にぐっときました。泣ける…。

文学酩酊日誌<2010年12月23日>
穴沢賢著「富士丸な日々」「富士丸のモフモフ健康相談室 犬とボクらのしあわせ探し」
飼い犬のブログをまとめた本と、健康について云々の本。読んだあとにブログ見たら、もう富士丸はいないようで…。それを思うと切なくなりました。

山崎ナオコーラ著「この世は二人組ではできあがらない」
ところどころ日記っぽいので自分が作家になるまでの記録なのかな、と思った。

遙洋子著「介護と恋愛」「ハイブリッド・ウーマン」「結婚しません」
介護舐めんな!と言うのが、とてもよく分かった。理念と実践とか、言葉の節々が突き刺さる…。男VS女よりも嫁姑のエピソードが恐ろしい。自分が何も考えてないのかがよくわかった。もっとこの人から学んでみたい。

平岩弓枝著「西遊記(上下)」
三蔵法師と悟空が丁寧に書かれていて、読んでいてほのぼのしました。挿絵もたくさんで楽しい。天竺ついてからの三蔵法師が見ていてつらすぎる。でも一行の旅はまだ続くのでよかった。西遊記はこの人の以外では読む気がしません。

井上荒野著「もう二度と食べたくないあまいもの」
読んだもののどう受けていいかわからない。

土屋賢二著「貧相ですが、何か?」
何冊読んでも変わらない、安定した面白さ!

藤本ひとみ著「いい女」
かわいそうな女が自分の事を考え、いい女になるのはよかった。母と娘は上手くやっていけると思う。

鈴木光司著「アイズ」
怖い話の短編集。「タクシー」はいい話でした。

トーベ・ヤンソン著「ムーミン谷の彗星」「たのしいムーミン一家」「ムーミンパパの思い出」「ムーミン谷の夏まつり」「ムーミン谷の冬」「ムーミン谷の仲間たち」「ムーミンパパ海へ行く」「小さなムーミントロールと大きな洪水」
名前は知ってるもののちゃんと話を知らなかったので、読んでみました。挿絵が可愛い。そしてスナフキンが一番好き。

唯川恵著「不運な女神」
いろんな理由(と言うかほとんど男のせい)で離婚した女たちが主人公。読後はそんなに悪くなかった。

中山七里著「さよならドビュッシー」
岬先生が格好よすぎて主人公にもったいないくらい。いじめっ子3人組との対決は、読んでいて胸がつらかった。あと、自分がピアノのことあんまり知らないので、読んでいても曲の感じがつかめなかった。

綿矢りさ著「夢を与える」
子役モデルのその成長と転落。父親が泣きすぎで、役立たずだと思った。母娘そろって男運ないと言うか…。芸能界怖い。

高嶋哲夫著「風をつかまえて」
風車で町おこし。犠牲になったもの(特に知恵の足…)が残酷でした。

伊藤たかみ著「フラミンゴの家」
離婚していたけれど、再開して一緒に暮らす父と娘の再生話。骨に色が…の部分が、すごく良かった。でも「できんくなる」「あかんくなる」などの表現が目に付いた。

京極夏彦著「死ねばいいのに」
読んでいていやになる話。言ってる事わかるけど態度が気に入らない。人一人でも殺した以上、罪なんだから償って欲しいところ。多分ここに出てくる考え方からすると、森鴎外の「高瀬舟」の主人公も死刑。文体がゲームに出てくるような形で、読みづらかった。(だから<改行>「そういった」<改行>――でも、みたいな感じ)

重松清著「あすなろ三三七拍子」
面白くって、感動しました。OB二人の部分が好きです。「オトコとオンナ、足してオトナや!」は名言でした。後半のベケちゃんとハカセのけじめ付け合戦も泣ける。

荷宮和子著「アダルトチルドレンと少女漫画」
作者の考え方、文章が興味深くて面白い。ただ、例に挙げられた漫画をほとんど読んでいないので話が分かりづらいので、また読み直したい。

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