文学酩酊日誌<2009年7月5日> 群ようこ著「それいけ!トシコさん」 6男と結婚して幸せだと思った矢先に自分が夫の両親と同居だ、義母は宗教かぶれだ、義父は寝たきりだ、こどもは反抗期だと飛んだ災難だらけ。義母のやってる宗教が某何とか学会に見えました。 松村美樹子著「ホウ博士とロボットのいる町」 他人に優しくないホウ博士が、メイさんのためにロボットを作るようになるのがとてもよかった。児童文学書で、絵がたくさん。 新津きよみ著「ママの友達」 20年前の交換日記が届いた!差出人は殺された子!…でも、話は交換日記をしていた友達中心の話で、殺人は関係ないです。この中の夫にモラハラ、精神的DVを受けている子が離婚しましょうって言う場面がベスト。 たかどのほうこ著「ポップコーンの魔法」 ハンナ(というよりも花子)がカメリアと出会って、不思議な体験をする。でもその正体は同じクラスの亀代ちゃんだった!ポップコーンを一緒に作ったからピアノ曲「ポップコーン」が上手に演奏できてよかった。聞いてみたい。これも児童書です。 熊谷達也著「新参教師」「虹色にランドスケープ」 前者は教師に転職した男が脅迫文を送られて犯人探し。自称探偵の男が「空中ブランコ」の伊良部先生に見えた。後者はバイク乗りの連作短編集。ちゃんとつながっているので、いろんな人物の描写が面白かった。 酒井順子「おばさん未満」 丁寧な口調のエッセイ。表紙の絵がかわいい。本文に出てきた「年齢はひざ、ひじに出てくる!」の話に驚愕。怖い怖い。 ねじめ正一著「出もどり家族」 主人公がネジメだけれどたぶん本人じゃないはず…。みんな借金まみれで蒸発する。ネジメもたまたまであった少女に30万をぽんと渡して見え張る。屋久島行った後また帰ってくるのでよかった。 前川麻子著「ネイバーズ・ホーム・サービス」 ホームヘルパーっぽい仕事をする面子の、何かいろいろ。どうも、よくわからんかった。 文学酩酊日誌<2009年7月22日> 重松清著「サンタ・エクスプレス 季節風・冬」 これで春夏秋冬完了。人生疲れ切った男が、とあるきっかけでもうちょっと生きる短編が好きです。 熊谷達也著「ゆうとりあ」 定年になったサラリーマンの、第二の人生探し。田舎暮らし?蕎麦打ち?バンド?読んでいて面白かった。 群よう子著「びんぼう草」 変な人に巻き込まれてしまう、安定した笑い。 よしもとばなな著「王国その1〜その3」 タイトル略。世間知らずの雫石(女)が外の世界に触れてゲイと友達になったり不倫したりして成長。もう少し話を続けてほしかった。 谷村志穂著「黒い天使になりたい」 短い短い。いわゆる携帯小説なので、話の展開も早い。さくさく読めます。 角田光代著「人生ベストテン」 表題作の主人公達(40歳女)の「鳩子姫〜」「同窓会なのでござる」「きゃー、海鮮ちらしおいしいなりー」の口調が、どうしようもなく気持ち悪い。 島田雅彦著「小説作法ABC」 いわゆる小説の書き方本。これからの作文に活かしたいと思うところは多々ある。 海猫沢めろん著「左巻キ式ラストリゾート」 読んだきっかけはこの小説の基になった「ぷに☆ふご〜」を遊んだから。でも小説本文とゲームの話とはまったく違う(主人公から違う)ので、別物扱い。話はよくわからなかった。おもしろいけど。 文学酩酊日誌<2009年8月17日> 辻村深月著「ロードムービー」 表題作が大変いい。他人より少し大人な小学生の主人公がいじめられっこと友達になったおかげで自分のいじめられてしまう。それでもしっかりと児童選挙で生徒会長の座を勝ち取るのは感動しました。それよりも、いじめっこがずたぼろになったのがうれしい。あの女嫌い。 中村文則著「何もかも憂鬱な夜に」 話が重たい。死刑囚の死に際がどんなものか。救いがほとんどない。 大道珠貴著「ケセランパサラン」 短編と詩が入った本。若い子の空気が、いい感じの話がいいです。 万城目学著「プリンセス・トヨトミ」 三人の調査官VS大阪国。プリンセス・トヨトミの彼女がやくざの事務所で暴れるのが面白い。あと、シャルロット木下は声出して笑いました。オ父サンモ泣イテルヨ! 谷村志穂著「冷たい水と、砂の記憶」 以前に読んだのと同じで、これも短編がたくさん。長編で読みたい話もいくつか。 梨木香歩著「f植物園の巣穴」 正直時代も設定もよくわからなかった。 グリニス・リドリー著「サイのクララの大旅行」 18世紀のヨーロッパではサイは見たことのないもの。だからそこに目をつけて、サイを見世物にすれば金儲けができる!そんな実話。ヨーロッパの貴婦人はサイのヘアスタイルをしたりしたそうな。とにかくサイに熱狂した時代があったのだと思うと感慨深い。 ニール・ドグラース・タイソン著「ブラックホールで死んでみる」 タイトルが非常に素敵。しかし話の内容は物理と宇宙の法則がどうのこうので大変難しい。結局のところブラックホールで死ぬのは華々しい(スペキュタクラー)なのかもわからない…。 文学酩酊日誌<2009年8月30日> 重松清著「気をつけ、礼」 先生と生徒、それを軸にした短編。中でもいじめられてる子が主役の話がとても苦しくなる。反省文書かせるのが何の改善にもならないのをわかってない担任が腹立つ。 谷村志穂著「妖精愛」 何かが壊れている男女と性愛の短編。表紙の絵がなんともいい感じです。 米原万里著「ヒトのオスは飼わないの?」 猫と犬を飼う作者のエッセイ。作者はなくなったので、動物たちの行方が気になる。盛りついた猫が犬に向かって求愛するエピソードが興味深い。 白石一文著「見えないドアと鶴の空」 がっかり賞。結婚して6年の主人公は嫁の友達(超能力者)に寝取られてしまいましたとさ。母乳を吸うとか情事の描写がエロかっただけに、途中から超能力者の設定が入ってきて大変残念。読者は置いてけぼりだよ! 石田衣良著「5年3組リョウタ組」 良太先生と隣の組の染谷先生の中が、どう見ても腐女子狙いに見える。話は熱血教師良太が生徒を大切に思っていたりする話で、面白かった。 文学酩酊日誌<2009年9月24日> 西澤保彦著「夢は枯れ野をかけめぐる」 ミステリとか書いてあるけど、別にそんなことない。倹約して生きてきた主人公が大変いい男。最終話の突然時代が流れている感じはびっくりした。女子大生とはくっついてくれなかったみたいでちょっと残念。 安部譲二著「猫のシッポ」「塀の中の懲りない面々3」 前者は表紙の猫が可愛かったので読んだ。まさか筆者が悪い世界を生きてきた人だとはつゆ知らず…。猫と一緒に写っている写真をみると、猫好きのよさそうなおっちゃんなんだけどねえ。 後者は図書館に1、2がなかったので、何で3だけあるんだよと思いながら読んだ。塀の中でであった数々の悪い人たちのエピソードが満載。窃盗(うかんむり)とか、知らなくてもいいトリビアが身につきます。でも悪いことはダメ。 見延典子著「家なんか建てなきゃよった」 なかなかよいタイトル。家にまつわる短編集で、登場人物はみんな「家なんか建てなきゃよかった!」とかいう。この先私も家を建てる身にならんこともないので、勉強しました。 水野敬也著「夢をかなえるゾウ」 今頃読んだ。中谷章宏の本に小説を足したような話ですね。でもガネーシャが面白かった。「ガネ・ガネ・ガネーシャ♪」がお気に入り。ああ、それにしてもこんなことならドラマを見てればよかったとひどく後悔…。 文学酩酊日誌<2009年10月17日> 辻村深月著「太陽の坐る場所」 同名(キョウコ)がよく分からなかった。話の筋は面白いんだけれど…。もっといじめの場面をねちっこく書いてほしい。 有吉玉青著「ぼくたちはきっとすごい大人になる」 小学生を主人公にした短編集。中のいい女の子同士の話、音楽の先生に恋した小学生の話し、それと表題作が面白かった。同級生が死んだのは何故?どうしていい子だと早く死ななきゃならないの?葬式で泣かなかった3人が「あいつは理由もないのに死んだんだ」と結論を出して泣くところが大変面白かった。 谷村志穂著「雪になる」「みにくいあひる」 どの話読んでも結局ズルズル不倫して体でつながって〜という感じ。もうしばらく読みたくない。 文学酩酊日誌<2009年11月19日> 森見登美彦著「宵山万華鏡」 京都でいろいろファンタジー。同じような感じが多かった。前に読んだ話のほうが面白かったので、正直、肩透かし…。 西加奈子著「きりこについて」 とにかくこの世の中で一番の「ぶす」を強調したきりこと、そばにいる猫ラムセス2世が話の中心。とても楽しんで読めました。後半のきりこたち数年後、の展開(初恋の行方とか)も良かった。 中山可穂著「猫背の王子」 破滅へ向かうのが胸にぐっと来る。刹那的とか、そんな感じ。続編「天使の骨」もいずれ読まねば。 中嶋ラモス著「アルティメット・グラップル 爆裂拳士☆修闘」 東京から帰りの新幹線で読んだ本。挿絵が西川もとい、まみやこましだから購入。あからさま過ぎるパロディ(主人公がどう見てもKOFの炎の…)でこういうのはどうなの、大丈夫なのか。あとなんで名古屋弁なのか。関西弁でエロはいけるけど名古屋弁でエロはついていけない。 姫野カオルコ著「桃 もうひとつのツ、イ、ラ、ク」 新幹線の中で読んだ本2。以前「ツ、イ、ラ、ク」を読んではいますが、かなり時期があいているので登場人物の話の雰囲気もうまくつかみ取れないまま読みました。多分、前作を読んですぐだったらもっと面白かったと思う。残念。 銀色夏生著「詩集 すみわたる夜空のような」 新幹線の3。綺麗な単語を並べて空白をあけてあるのが詩集。この人には詩だけ作っていてほしい。家建てたエッセイに需要があるんですか。 現代言語セミナー編「口説きの言葉辞典」 新幹線4。「別れ編」と「ラブアタック編」も持っているので、つい購入。いいですね、こういうのは読むと刺激されます。台詞の出典元も読みたい。 誉田哲也著「武士道セブンティーン」 「武士道シックスティーン」の続編。映画化楽しみです。今回は早苗と香織が別の場所でがんばってました。お互いに「あの時と違って、落ち着いた構えだね」とか「冷静な戦い方だ」と評するところに友情を感じました。早苗の香織は親友とかじゃない、むしろ戦友なの!といったところが、良かった。 朱川湊人著「わくらば追慕抄」 人の過去が読めるお姉さまと、サポートする妹ワッコちゃんの話、第2弾。今回お姉さまと同じ能力者が出てきてライバル宣言するんですが、未解決のまま終わりました。帯にまで書いといて出てきたのは2話程度って…。 重松清著「きみの友だち」 友達って何?グループを作るのが友達?そんな感じのテーマ。えげつなかった。いじめられて転校してきた子の話が特にえぐい。「みんないじめたことを反省して鶴を作ったの」と、千羽鶴をもらったのはいいのですが、一羽一羽紙を広げるとそこには死ねとか、そういう言葉が書いてあって…!読んでいてとてもつらかった。何で重松清はこうも鋭く書けるのか…。 デュマ著「三銃士(上下)」 NHKの人形劇を見るようになって、気になったから読書。ずいぶんと日数がかかってしまいました。長いのにそれぞれの人物がしっかりしているおかげでだあれずに読めました。ダルタニャンの挿絵はどう見ても20歳には見えないんですけど…。ところで福音館書店版を読んだんですが、下巻のダルタニャンとロシュフォールの仲良くなった場面「二人は、いょしょに部屋を出た」という誤字があります。14版もずっと誤字とは悲しい。 三崎亜記著「刻まれない明日」 町の一部に爆発が起きて、みんな消えてしまった。なのにその場所に住んでいた人から手紙が来るし、そこの図書館から本が借りられたりする…。大変気になる設定なんですが「となり町戦争」と同じように知りたいところにまったく触れないので、もどかしかった。結局10年前に消えた人たちは今どうなのか?もやもやする。 文学酩酊日誌<2009年12月7日> J・スウィフト著「ガリヴァー旅行記(上下)」 前半が面白かったので、後半の流れやオチはちょっと残念でした。でもラピュータとかヤフーは、後世に何らかのヒントを与えているので、その辺は何か原点が見られて良かった(上手くいえない…)。家畜人ヤプーは読む気ないけど。 本谷有希子著「あの子の考えることは変」 勢いだけで読んで、面白かったかどうかといわれるととても微妙。何が言いたいか結局分からなかったけれど日田と巡谷が楽しそうなので、それでいい。 セルバンテス著「ドン・キホーテ」 聖書の次に多くの人から読まれている本らしいので、興味がわいて読んだ。初めはドン・キホーテ馬鹿だなぁとか思ってましたが、だんだんとひたむきさに夢中になりました。そのせいで彼をからかう公爵たちが憎い! 森絵都著「君と一緒に生きよう」 人間の勝手で捨てられる犬を何とかしようとする、ノンフィクション。ペットショップで飼うのもいいけれど、殺される前の犬を助けたくもある。でもそれだけじゃ暮らしていけない。とりあえず犬のボランティア施設にいらない毛布とか、寄付しようと思いました。 ちくま日本文学全集「夢野久作」 8話収録。ドグラ・マグラが気になってるんですが、これには収録されてませんでした。「瓶詰地獄」の兄×妹の背徳さが良かった。 |