文学酩酊日誌<2007年2月6日> 室積光著「ドスコイ警備保障」 働くお相撲さん。登場人物のモデルが分かるのはいいのか悪いのか。 吉田修一著「初恋温泉」 話が「これから」ってところで切れているのばかりでもうひとつ。 特に不倫話の行方は気になる。だらだら続いて関係が終わってないに違いない。 藤本ひとみ著「離婚まで」 そんな男、別れちゃいなさい。 里帰りして、「やっぱり、離婚しよう。でも子供が大きくなるまで我慢しよう」と終わっているのはよいものか。自虐的な気がする。私だったら、すぐ離婚します。でも世間体とかで難しいのかなあ。 出久根達郎著「昔の部屋」 表題作の展開が面白かったです。一本目の古本屋で働く純な少年の話も好き。 新堂冬樹著「忘れ雪」 よく出来た感動作品。ヒロインの名前が深雪なのはいかにもという感じ。 ロマンスからサスペンスになって最後は…。ちなみに一番悪いのはあの女。許せない。 中島らも著「空のオルゴール」 今回の当たり。奇術師対殺し屋、勝つのはどっち!個性豊かな奇術師がどんどん倒されてしまうのは読んでいて悲しかったです。オキト…。 個人的に好きなのは奇術師の一人マミーの名場面、 「エミリー。いつもおじさんが言っていることを思い出すんだ。おじさん、何を言っている」 「大きくなったらやらしてくれ」 「そっちのほうじゃないんだよ。もうひとつのほうだ」(一部抜粋)と、 トキトモがリカを口説く台詞の、 「あと三時間は暇があるな。しようか」 「君も案外臆病な娘だなぁ。それともおれのことが嫌いかい」が好きです。 と、トキトモの色男ー! 文学酩酊日誌<2007年2月20日> 中島らも著「人体模型の夜」「白いメリーさん」 前回読んだ「空のオルゴール」が気に入ったので、他の本も読んでみました。割とホラー、バイオレンス話が多いのでびっくりしました。「日の出通り商店街 いきいきデー(白いメリーさん収録)」の、「人殺ししていい日」という設定も飛んでました。おちの一文がお気に入り。 蓮見圭一著「水曜の朝、午前三時」 大阪万博の時代、親の反対を押し切ってコンパニオンになった直美。今結婚して子供もいるけれど、もしもあの時あの人と結婚していたら…。ひょっとしてあの子が死んだのは私のせいでは…。という、その秘密の正体を告白。昭和のその時代は差別とか、そういうのが根強かったんだなぁ。まあ、もちろん私もそういう(自粛)と結婚なのは嫌ですが。 初野晴著「水の時計」 脳死したはづきとであった昴が、そのはづきの臓器などを人に届ける話。「幸福な王子(つばめが石の王子の宝石を貧しい人に届けるあの話)」と絡ませて進んでいく話で、最後がとても切なかった。最後の方で、どうしてはづきが昴に願いを托したかの話があって、泣きそうになりました。 脳が死んでいても話って出来るものなの?そういう機械って出来たの?と、思ってしまったけれど…。 花村萬月著「惜春」 いわゆる童貞文学。バーで働いていたところから、騙されてトルコ風呂のボーイになってしまった二十歳童貞の佐山君。店でナンバーワンの吹雪さんとの出会いのくだりが明るくて好き。 それゆえに、デートしてホテルに誘われた場面の「あたし、汚れてるもんな。あんたみたいな普通の子を誘える身分じゃないよな」という台詞が悲しい。店の方針が変わり、辞める吹雪さんとの「新しい店が決まったら絶対に連絡してください。客として吹雪さんに会いに行きたいから」「あたしに童貞捧げてくれるのか」の会話も切なかった。 風俗関係で働く人にもロマンスがあったっていいじゃないか、ハッピーエンドがあったっていいじゃないか…。叶わないってさびしいなぁ。 長新太著「海のビー玉」 エッセイと対談と漫画。この、マンガ・怪人シリーズがシュールでまた可愛くて面白かった。探偵さんが毎回怪人○○男と対決するのですが、ほとんど未解決。「ついにすず虫男は耳にかみついたのよ タイヘンタイヘン」など、口調が可愛いのです。 |