文学酩酊日誌
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文学酩酊日誌<2006年2月8日>
永倉万治著「ポチャポチャの女」
何でかバーで出会った女とホテルで再会してそのままベッドを一緒に、というパターンばかりだったのでびっくりした。見事テンプレート化。作者の好みなんでしょうか。

眉村卓著「虹の裏側」
挿絵。コレが全てかと。
「名残の雪」の展開は新鮮で面白かった。そのとき歴史が○○。読んでからのお楽しみなので、ここでは黙秘。
あと、いろいろ検索したら先生は奥様のために毎日短編作ってらしたんですね。…ええ話やなァ…。もの書きの嫁にはなるな!っていう文章を違う著者の本で見たけれど、でも好きな人は仕方ないよ…。

皆川博子著「悦楽園」
エログロ。「獣舎のスキャット」の気持ち悪さはなんだろう。いつ弟を殺すかと思っていたのでガッカリです。
でもアトロピンの説明文は良かった。美しい女ベラドンナ、運命の糸を断ち切るアトロポス。このふたつの名を持つ「アトローパ・ベラドンナ」、日本名はキチガイなすび。
水底の祭りが唯一お気に入り。後の話は読後感が酷かったです。ヒー。

星新一著「おせっかいな神々」「ようこそ地球さん」。
多すぎて読んだような、読んでないような話ばかりでした。さすが星新一。「愛の鍵」が好きです。どうでもいいけれど、写真見てるとモンタミノを思い浮かべます。似てる。
解説に「時ネタ「暴力」「セックス」を扱わないで1000篇以上を成し遂げたと書いてあるのですが、「セキストラ」は無視?
文学酩酊日誌<2006年2月19日>
松本侑子著「海と川の恋文」
筋はヒロイン遥香が二人の男に持ててつつ、女優目指す話。
最後へ行くまでがもう歯がゆくて何で幸せになれんのや!と号泣していました。泣きながら読んだ。
夢を持つ徳明、強引な修平のどちらを選ぶか?という点で言えば、二人の仲を引き裂いた修平は許しがたい。でも命の恩人。悔しい話だ。これで逆だったら展開も変わっていたのだろう。とはいえ「徳明さんと一緒になれないけど、私の体には同じ血が流れているから平気…」というのは耐えられない。やっぱり幸せになって欲しい。
余談ですが「遥」の字がつく女の子はみんな応援したくなる。多分エロゲー「君が望む永遠」のせいです。寺坂、水月嫌い。

星新一著「なりそこない王子」
はて?結構エロいところ突いて話を作っていたのでびっくり。化学発達しすぎて性欲現象など。

朱川湊人著「かたみ歌」
よかったあ。直木賞とった人の一作目。いずれそっちも読もう。
幽霊が見える町の連作で、「栞の恋」がお気に入り。一言で言えば「世にも奇妙な物語昭和編」。
最後は古本屋の主人も救われるので大変読後が感良かった。
あと、母にも安心して勧められる一冊。

坂口安吾著「安吾巷談」
そうか、おじさまがハイジャンプで記録を持っていたのはこの理由だったのか。

中場利一著「えんちゃん 岸和田暴れ恋」
ゲロはいた後の「え!?ほたらえんちゃんも一緒に行く?」は声出して笑った。キスシーンとか嫁入りの描写とか、泥臭いロマンスもとてもよかった。憧れー!うらやましいー!私も射的場でデートして「俺は左のやついてまうから、えんちゃんは右のやつ頼むで」っていわれたーい!台風着てる最中に女になりたーい!
それにしても、えんちゃんと俊っしゃんの行方というか、数十年先を知ってしまっているので複雑。幸せなときは本当幸せだったんだな…。
それと、何でか俊っしゃんがカヲルちゃんとダブって感じた。何でか。

チャールズ・ブコウスキー著「町でいちばんの美女」
正直、表題作以外はあんまり記憶に残ってませんです。あ、あと、やたらブコウスキー氏がでてくるぐらい。暴力・流血・セックス・お酒でしか構成されてない気がする。
この表題作の話は苦しかった。ベッピンすぎるが故のしがらみというか、そういうのに縛られるのって苦しかったのだろう。
見た目じゃない、心が好きだと言って欲しくて体を傷つける彼女を、どうにか主人公に救って欲しかった。

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